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機器センター(2ページ) 分子研リポート2014 | 分子科学研究所

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研究施設の現状と将来計画 311

8-4 機器センター

機器センターは,先端機器の開発・維持・管理・運用,汎用的な物性・分析・分光機器の維持・管理・運用,所内 外の施設利用者への技術支援を主な業務としている。先端機器開発に関しては,研究所内外の共同利用者と協力して, 特色ある測定装置の開発とその共同利用を行っている。また,汎用的な化学分析機器,構造解析機器,物性測定機器, 分光計測機器,および液体窒素・ヘリウム等の寒剤供給装置等の多様な機器の維持・管理を行い,全国の共同利用者 が分子科学研究を推進するための研究支援を担っている。さらには,機器センター所有の多くの機器を大学連携研究 設備ネットワークに公開しつつ,この事業の実務を担当している。機器センターには,センター長(併任)のほかに 6名の専任技術職員,2名の事務支援員,1名の技術支援員が配置されている。

研究所全体として大規模装置を効率的に運用する必要性の高まりを受けて,機器センターにおいて,比較的汎用性 の高い装置群を集中的かつ経常的に管理することとなった。その一環として,2011年度末に終了した「ナノテクノ ロジーネットワーク事業」で運営されてきた 920 MHz NMR および高分解能電子顕微鏡,さらに,X線光電子分光器, 集束イオンビーム加工装置,走査型電子顕微鏡の計5装置が,機器センターに移管された。2012年7月より,「ナノ テクノロジーネットワーク事業」の発展である「文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(ナノプラットフォー ム)事業」が開始された。ナノテクノロジープラットフォームは3つのプラットフォーム(微細構造解析,微細加工, 分子・物質合成)と1つのセンターが運用しており,分子科学研究所は分子・物質合成プラットフォーム(全11機関) の代表機関として参画している。機器センターは,ナノテクプラットフォーム実施機関における共用設備運用組織と して登録されており,事務を担うナノプラットフォーム室と緊密に連携を取り,様々な汎用設備の維持・管理と所外 研究者への供用サポートを継続している。機器センター所有の施設の中,電子スピン共鳴(E S R )装置(B ruker E MX Plus, E 500)ならびに S QUID 型磁化測定装置は2013年度から「ナノプラットフォーム」にて運用する体制となった。 また,理化学研究所より2台の N M R 装置(B ruk er A V A N C E 80,A V A N C E 600)が移管され,2013年秋より本格的 な供用が開始されている。電子スピン共鳴装置に関しても各コンポーネントのアップグレードや様々なオプションの 導入によって,研究環境の整備が行われた。2013年度には,2012年度ナノプラットフォーム補正予算により,マ イクロストラクチャー製作装置(マスクレス露光装置,3次元光学プロファイラーシステム,クリーンブース),低 真空分析走査電子顕微鏡,機能性材料バンド構造顕微分析システム(紫外光電子分光),X線溶液散乱装置が導入され, マイクロストラクチャー製作装置は装置開発室が管理し,それ以外の3機は担当教員のもと機器センターが維持・管 理・運用している。

2015年度においては,ナノテクプラットフォーム室を廃止し,機器センターがナノテクプラットフォーム実施機 関の運用母体として統一的にその責を担うこととした。このため,機器センター所外公開機器のすべてをナノテクプ ラットフォーム登録機器とすることになった。これにより民間利用の促進も期待できる。また,技術職員の欠員を補い, さらに機器利用を促進する目的から,2014年度に既に技術支援員1名(汎用 N M R 等担当)を配置したが,2015 年度には博士研究員1名(高磁場 NMR 担当),技術支援員1名(T E M 等担当)をさらに配置する。

研究所外のコミュニティから広く意見を集約する必要性が増加したため,機器センターの運営委員会が現在までは 所内委員のみで構成されていたものを,所外委員も含めた構成に変更した。当会議では,施設利用の審査を行うほか, 施設利用の在り方やセンターの将来計画について,所内外の意見を集約しつつ方向性を定める。機器センターの今後 であるが,国家全体の厳しい財務状況を考慮すると,汎用機器の配置や利用を明確な戦略のもとに進めることが不可 欠となるのは言をまたない。実際,現在の所有機器の多くが10年以上前に導入されたもので老朽化が進み,かなり 高額の修理を頻繁に実施せざるを得ない状況になっている。全てを同時に更新することは予算的な制約からほぼ不可

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312 研究施設の現状と将来計画

能であり,緊急性・使用頻度を考慮して順次更新を進めるプランを策定して,分子研全体の設備マスタープランへ組 み込む必要がある。次年度以降,さしあたり質量分析器,粉末X線回折,単結晶X線回折から更新を進めるべきであ ると結論している。

一方,中長期的にどのような機器ラインアップを維持するか改めて検討すべきであろう。機器の利用形態を考慮す ると,次の3つのタイプに階層化することが有用と思われる。

1) 比較的多数のグループ(特に研究所内)が研究を遂行していく上で不可欠な共通基盤的機器。これらの維持は,特 に人事流動の活発な分子研において,各グループが類似の装置をそれぞれ新たに用意する必要がない環境作りの面 で,最重要である。所内利用者には利便性を図りつつ相応の維持費負担をお願いする必要がある。また,オペレーター として,技術職員ばかりでなく技術支援員等で対応することも検討する。一方,使用頻度や維持経費の点で負担が 大きいと判断されたものは見直しの対象とし,所内特定グループや他機関へも含めた移設などにより有効に利用し てもらうことも検討すべきである。

2) 当機器センターとしての特色ある測定機器。汎用機器をベースとしつつ改良を加えることによってオリジナル性の 高いシステムを開発し,それを共同利用に供する取り組みを強化すべきである。その際,技術職員が積極的に関与 して技術力を高めることが重要である。所外の研究者の要請・提案を取り込みつつ連携して進めるとともに,所内 研究者の積極的な関与も求める。当センター内のみならず,例えば,UV S OR や分子制御レーザー開発研究センター 等と共同して取り組むことも効果的と考えられる。所内技術職員の連携協力が技術を支えるのに不可欠である。コ ミュニティ全体から提案を求める体制づくりも必要となろう。また,各種プロジェクトに適当な装置の時間貸しを することによって維持費の一部を捻出するなどの工夫も必要であろう。

3) 国際的な水準での先端的機器。分子科学の発展・深化を強力に推進する研究拠点としての分子研の役割を体現する 施設として,U V S O R や計算科学研究センターと同様に,機器センターも機能する必要がある。高磁場 N M R 装置 や E S R 装置は,国際的な競争力を有する先端的機器群であり,研究所全体として明確に位置付けを行い,利用・運 営体制を整備することによって,このミッションに対応すべきである。国外からの利用にも対応するため,技術職 員には国際性が求められる。2) と同様に,所外コミュニティからの要請・提案と,所内研究者の積極的関与が不可 欠である。特に,新規ユーザーの開拓は,分子科学の新領域形成へと繋がると期待されるものであり,これまで分 子研との繋がりがあまり深くはなかった研究者層・学協会との積極的な連携を模索することにも取り組む。先端的 機器は不断の性能更新が宿命であるが,全ての面でトップたることは不可能であるので,意識して差別化を行い, 分子研ならではの機器集合体を構成することに留意する。

参照

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